『光の街-NIPPON-』
2024年 2800×2000mm
木製パネル、雲肌麻紙、膠、岩絵の具、金箔、金泥、銀泥、墨
幻想と現実の再構築
本作品は、日本各地の景色と龍を組み合わせ描く事により幻想と現実の境界を曖昧にし、見る者に新たな視点を提供することを目的としています。
和紙や岩絵具などの伝統的な日本画の素材を用い、東京藝術大学在学中に学んだ古典的な技法に根差しながら、現代の感覚を融合させた独自の世界観を表現しています。
『光の街-NIPPON-』では人の営みが生み出す夜の街明かりを一つの生命体と捉え、それを守護する龍(霊獣)の存在を描出します。
街の光は、人間の活動と精神の輝きを象徴し、この光を守り続ける龍は、私たちの創造性と生命力を保護する力強い守護者として表現されます。
随所に描かれた街並みは、街を散歩する体験や夜景を眺める瞬間における、幻想と現実が交錯する瞬間や記憶の中で埋在している感情を、″幽玄の景色″として表層化させます。
この作品を通じて、私は幻想と現実が織りなす美しさを再構築し、日常の景色が新鮮な驚きと楽しみに満ちたものとなる瞬間を捉えたいと考えています。
私は日本の伝説に登場する霊獣や花鳥風月の美しさ、さらには東京のような大都会が放つ独特のエネルギーからインスピレーションを受けています。日本の精神と文化の奥深さ、そしてその現代における変容を探求し、それを表現することで、見る者に日本ならではの美の感覚を伝えたいと考えています。
この作品は都市の現在を記録するとともに、未来に向けてのメッセージを込めています。この作品が残る事で時を超えてその魅力が語り継がれることを願っています。
幻想と現実の狭間で描かれたこの世界が、見る者にとって新たな発見と喜びの源泉となることを願っています。